《ジャン・ラルマン》
フランスの南東、グランクリュがひしめくモンターニュ・ド・ランスの丘陵の中でも、有名メゾンのみならずシャンパーニュ中の生産者がこぞって手に入れたいと望むピノ・ノワールを生むのが、このヴェルズネイ村のピノ・ノワールです。ピノ・ノワール最高の土地として双璧をなすアイ村ピノ・ノワールの魅力が“芯の強さと密度を備えた大らかさ”ならば、ヴェルズネイ村ピノ・ノワールの美点は、“北斜面と白亜質の土壌が生むシャープな酸やミネラル感、透明感や伸びやかさ、そして丸く完璧なバランスと気高さ”だといえるかもしれません。
《ジャン・ラルマン》は、このヴェルズネイでも1、2を争う最上の区画を所有するレコルタン・マニピュランです。風貌からも職人気質が見てとれる現当主ジャン・リュック・ラルマン氏の曾祖父の代からブドウ栽培を行っていて、シャンパーニュ造りは1951年に開始。かつて《ボランジェ》や《ランソン》にブドウを供給しメゾンのクオリティを支えていた畑は、北斜面でも日光がしっかり当たる中腹にあり、砂や粘土の影響が強い斜面上部と違って、粘土質の表土の下にはベレムナイトが堆積してできたブ厚い白亜の層が横たわっています。熟度とミネラル感のバランスが素晴らしいブドウが得られる絶好のテロワールですが、ジャン・リュック氏は贅沢にもそれぞれの樹で一番出来の良いブドウしか収穫せず、摘み残したブドウは土に還して肥料にしています。恵まれたテロワールの特徴を表現するため、リュット・レゾネでブドウを栽培。醸造においては自然酵母を用いてホーロータンクで発酵を行うことで、テロワールの偉大さを鮮明に伝え、同時にマロラクティック発酵にて滑らかな質感を引き出します。
春には瓶詰めする生産者が多い中、ベースワインを夏まで熟成させ、SO2(酸化防止剤)の使用やドサージュ(補糖)を抑えるなど、細部に渡るこだわりの積み重ねにより、ベーシックなブリュット・トラディションですら、評論家の心をつかんで離さない、ヴェルズネイのピノ・ノワールのエッセンスが凝縮されたシャンパーニュを生みだしています。近年《ボランジェ》や《ランソン》といった有名メゾンとの契約が終了し、ますます目が離せない作り手さんです。僅か4haの所有畑からこれ程贅沢なワインをリリースする、入手困難な作り手さんの一人です。
~輸入元資料参照~
Jul 23, 2021 | category :